2023年上半期:ベトナム経済の主要成長要因の総括

今日は2023年上半期におけるベトナム経済の主要な成長要因について解説します。グローバルでは経済状況が厳しく、主要貿易相手国も成長が鈍化していますが、ベトナムは何とか前向きな成長を遂げています。

総括

2023年の上半期、ベトナムのGDP成長率は3.72%でした。これは2020年上半期の1.74%よりも高い数値です。しかし、他の新興国と比べると少々見劣りし、2023年GDP成長率の目標が6.5%であることを考えると、政府としては少し予想外な成長率かと思われます。

主要国のGDP成長率グラフ

23年8月には、Pham Minh Chinh首相が6.5%目標を維持し、下期には9%以上の成長を達成すると表明しましたが、雲行きが怪しい状況です。

農業、林業、漁業

このセクターは3.07%の成長を見せ、全体のGDPに対して9.28%の貢献をしています。特に水産業が好調で、国内食糧安全保障に貢献しています。

サービス業

サービス業は6.33%の成長を記録し、GDP全体に対して脅威の78.85%の貢献となっています。中でも卸売・小売が8.49%、輸送が7.18%、金融・保険が7.13%、宿泊・飲食サービスが15.14%の成長を記録しています。

観光業

観光業は特に注目すべき分野で、国内観光者数は6,350万人(前年比+4.4%)、国際観光者数は560万人(前年の同期に比べ9.3倍)となりました。

交通業

約2億1,788万回の旅客移動があり、前年同期比で15.9%増加しています。

総評

コロナが明け、外食・観光再開が経済を引っ張っています。入国ビザ条件の緩和など、国も観光市場の活性化を狙っており、実際欧米を中心とした観光客は増えています。

一方で、中国経済の先行き不安、原材料価格の値上がりによる消費者物価の上昇、不動産市場の停滞は数字にあらわれ始めており、景況的には良いとは言えない状況です。政府も、中国との友好関係は維持しつつ、中国から脱出し始めた日本・韓国・欧米系製造拠点を呼び込もうとしています。2023年下期はひきつづき外食・観光需要で成長維持はできそうですが、2017年以降で1Q単位で最高の成長率が8.2%であることを考えると、9%成長は難しいと言えそうです。

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