デジタル植民地化する日本|国際競争力の現状と今後の課題
はじめに
来週、Salesforceが主催する大規模なイベント「Dreamforce」に多くの日本のIT企業が参加する予定です。これには高額な参加費が必要なにもかかわらず、日本企業の熱意は高いようです。この現象を手がかりに、日本のIT業界が直面する国際競争力の問題について考えてみましょう。
国内市場と国際競争
少子高齢化、国際順位の下落などが叫ばれていますが、依然日本のIT企業は多くが国内市場に焦点を当てています。それと並行して、Google、Amazon、Microsoftといったグローバル企業のサービスも広く採用されています。
2種類のITサービスと国際競争
ITサービスは、オフライン活動と連携しないタイプと、オフライン活動と対になって価値を生む「O2O(Online to Offline)」タイプに分けられます。前者は、メールやチャット、タスク管理やコード管理、OSやセキュリティソフトなどが該当します。後者は、工場管理、倉庫管理、店舗予約ソフト、経理ソフトなどです。前者は、国独自の規制や商習慣に成約される点が少ないため、国際競争に曝されやすいと言えます。一方で、後者はローカルな要素が多いため、国際競争のプレッシャーが少ない場合があります。
ビジネスチャット市場の例
ビジネスチャット領域を具体例にとれば、Chatworkが2011年にサービスを開始したのに対し、Slackは2014年、Microsoft Teamsは2017年に市場に参入しました。しかし、2021年のビジネスチャット国内シェアでは、Microsoft Teamsが62.8%でトップ、続いてSlackが8.2%、Google Chatが7.6%です。一方、国産のLINE WORKSとChatworkは4.8%と3.6%に留まっています。これは、国内企業が国際プレイヤーに取って代わられつつある明確な証拠です。
Webミーティング市場でのV-CUBEミーティングとZoom、SFA市場でのキントーン対Salesforceなども同様の傾向です。
国内プレイヤーの課題と機会
過去には、ジャストシステム対Microsoft Office、日系クラウドサービス対Dropbox、日本のモバイルOS対Android、ミクシィ対Facebookなど、国産ITサービスが国際競争で敗退するケースが目立ちました。一方、SanSan、Stadist、サイボウズなど海外進出を図っている企業もありますが、その多くは海外の日本企業を顧客にしているため、真の国際競争力は不明瞭です。しかし、O2OのITツールにおいては、日本国内で海外製品に対して一定の成功を見せている場合もあります。
植民地時代との類似性
歴史的には、先進国が途上国に無償で武器を提供し、依存関係を作り出す例がありました。日本のIT企業も、内向きな競争に囚われつつ、海外の先進技術に依存し始めています。特に、AWS、Google、Microsoftによるクラウド市場の拡大はその傾向を顕著にしています。
結論と今後の展望
多くの日本のIT企業が高額な費用を払ってDreamforceに参加する背後には、何らかの依存関係が見え隠れします。この問題にどう対処すべきか、次回の記事で具体的な策を探っていきたいと思います。
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